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館長:庵野秀明 「特撮博物館」 2 [ART]

《 特殊美術係倉庫 》
東宝撮影所内にあった美術倉庫の一部が再現されている。
戦車や戦闘機などの“お宝”が雑然と―とはいえ、そこは展示に耐えられる程度に―並ぶ倉庫内には、心なしかカビ臭なども漂っているような…
たかが倉庫と言うなかれ、世の男子はこんな薄汚れた“アジト”的空間にめっぽう弱いのである。


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                   (本展パンフレットより)

《 特撮の父・円谷英二 》
言うまでもなく、特撮史に燦然と輝く巨星である。
お気に入りのトレモントハットを被った氏のパネルが、愛機NCミッチェルと共に博物展を見守っている。
単に設営上の都合ではあろうが、入口あたりに仰々しく設えられるよりは、《特美倉庫》から《技》なるエリアへと続くこの一角の方が居心地が良さそうである。

《 技 》
特美スタッフのデザイン画や造型用の図面、模型などが並ぶ。
とりわけ歴代の東宝造型師、つまりは歴代ゴジラの意匠を担ってきた造型師たちの仕事は印象的であった。
熱い思いが込められた技が連綿と受け継がれる様は、まさに職人の系譜である。
彼らが産み、代々手塩に掛けた「ゴジラ」は、今や「GODZILLA」として世界中の人々に愛されるまでに成長を遂げたのである。

《 研究 》
このエリアでは『巨神兵 東京に現わる』に関する技術解説のほか、「強遠近法」や「オプチカル合成」といった特撮技法が紹介されている。
この博物館が大人を子供へと回帰させるのは前稿に述べた通りだが、片や子供たちは、これら制作の裏側を垣間見ることにより、少しだけ大人になるのかもしれない。

《 ミニチュアステージ 》
これまでの特撮作品を映像で紹介する《感謝》と題されたエリアを抜けると、吹き抜けの開放的なスペースに、数十メートルにも及ぶ長蛇の列があった。
それもそのはず、この博物館唯一の撮影可能エリアである。


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精巧に再現された都心のビル街に、カメラや携帯を手にした“巨人”たちが足を踏み入れて行く。
東京タワーの周辺はすでに何モノかによって壊されており、幸いなことに我々は破壊者の汚名を着せられることなく、スクリーンの中でしかお目にかかれないアングルでの撮影を堪能することができた。


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さて、とうとう出口手前の特設ショップまで来てしまった。
ついさっきまで童心地に仰ぎ見ていたヒーローや怪獣たちの分身が、整然と棚に並べられ、あるいは壁に吊るされ、値札が付けられている。
そんな商業的側面も、プロダクションを維持し、優れた作品を世に送り出すためと納得尽くであったはずだが、さすがにこのタイミングで目にすると、幾らかの動揺は禁じ得ない。

「それは、夢の終わりよ」(※)
青い髪の少女の声を聞いた気がしたのは、空耳であったか…

                         (「別稿」につづく)

特撮博物館H.P.
http://www.ntv.co.jp/tokusatsu/

※ 「新世紀エヴァンゲリオン」劇場版 『Air/まごころを、君に』 より

[雨]
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